ほんの少しの親切で

COLUMN

2018年07月09日

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ワラーチプロジェクトは多くのランナーの応援で成功した。

 6年前の2012年の秋、ボクは自宅がある河口湖から、神戸を目指し、ワラーチを履いて走っていた。

 95年に発生した「阪神、淡路大震災」、それと2011年に発生した「東日本大震災」。この2つの大きな震災の被災地の人々を勇気づける為に、義援金を募りながら、毎日、約30キロの距離を走り、18日間かけてゴール地点の神戸を目指したのだ。

 毎朝9時過ぎから走り始め、昼過ぎには走り終える。ほぼ野宿なので、野営地での設営を始め、時にはコインランドリーで洗濯をして、3日に一度くらいの割合で銭湯や温泉に行く。

 このようなケチケチ旅を続けながら(優雅にホテルなどに宿泊していたら、義援金を募る意味がないと考えたのだ)、神戸を目指す。そしてその模様を、毎日、ブログで更新して、より多くの人たちに、我々の活動を紹介した。

 そのおかげで、多くの知人、友人が応援に駆けつけてくれ、スタートで見送る、あるいはゴールで出迎える。そして日替わりで、一緒に走ってくれる友人も、毎日のように現れた。

 被災地を応援する為に走り始めたチャリティランだったが、逆に多くの人々に勇気づけられる結果となった。

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ゴールの神戸市役所で。

 そんな中、三重県内のマクドナルドで、些か嫌な思いをしたことがある。

 さきほども言ったように、ほぼ野宿を続け、毎日のランニングの様子をブログで更新する。このような状態でもっとも大切な機器は、PCの充電とWi-Fi環境である。Wi-FiはポケットWi-Fiを持参したので、なんとかネット環境に繋ぐことが出来た。が、充電の方は持参したソーラーシステムや、車載バッテリーでは賄いきれずに、いろいろなところでお願いして、充電させて貰った。

 そのマクドナルドでも、コーヒーをオーダーして、店員さんに客席の一部にあったコンセントを指差し、「あそこで1時間ほどPCを充電させて貰えないか?」とお願いした。

 すると次ような応えが帰って来た。

 「マクドナルドはお客様の電気料金を支払う為に営業しているのではありません」

 もっともな意見である。もちろんそれは理解している。が、当時でも、新宿あたりのマクドナルドでは、客席でPCやスマホをコンセントに繋ぐことのできるサービスを提供していた。

 それに実は、その店内では他の客が、無断で充電しているのを見かけていた。が、道義上、無断では使用したくなくて、我々は店員さんにお願いしたのだ。

 ところがさきほどの対応の上、無断使用している客には、見て見ぬフリである。そのことを指摘しようと思ったが、いずれにしても互いに不愉快な結果になると判っていたので、コーヒーを持って、早々に店を後にした。

 ところで写真に映っているコンセントは、最近、店舗を改装してリニューアル営業を始めた、近所のファミレスである。近頃ではどんな店でも、無料でWi-Fiを提供して、充電のサービスに応じてくれる。そういうサービスを提供することで、相乗効果として、売上向上を目指すことは、誰でも理解できる。

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ファミレスの壁に自由に使えるコンセント。

 もちろんマックはハンバーガーを売るのが目的の店だし、スタバやドトールはコーヒーを売るのが目的である。しかし今ではそれらの店の利用が、本来の目的とは違った受け止め方をされているのは、双方、どちらも理解しているし、それだからこそ成り立っていると思う。

 時代だったのか? 地域性だったのか? それともただたんに、その店員のパーソナリティだったのか?

 いずれにせよ、結果的には残念ながら、その企業に対するイメージが損なわれたのは言うまでもない。